千里丘陵に位置する吹田市北中部の白蟻リスク

「森の掃除屋」とも言われる白蟻は、
枯れ木や倒木などを食べ、消化分解し、土に還すという
自然界において重要な役割を担っている昆虫です。



白蟻は、木々の多い森林の土壌に多く生息しており、
山間部や山麓だけでなく、丘陵地の土壌は、昔から白蟻のホームグラウンドとも言える場所でもあるのです。

そのため、千里丘陵に位置する
北部の千里ニュータウン・万博・阪大エリアや山田・千里丘エリア、
そして、中部の千里山・佐井寺・片山エリアなどの住宅地は、
まさに、白蟻の生息地の上に、大量の木（餌）を使って住宅が建っているとも言えるのです。

- 吹田市の千里丘陵エリア -

2024年 現在（GoogleEarth）

1947年（昭和22年）の同エリア
（参照：国土交通省 地図・空中写真閲覧サービスより）

そのため、特に木造住宅は
白蟻に対する対策を講じていなければ、
被害に遭うリスクが高いことが容易に想像出来ます。

吹田市南部の低地における
木造住宅の白蟻リスク

「白蟻は湿気を好む」ということは
多くの方がご存じかと思います。

吹田市に多く生息し、木材を加害するヤマトシロアリは、
水を遠くまで運ぶ能力がないと言われています。

そのため、特に川や水路、池（貯め池）や水田の近くの土壌など、
水分を確保しやすい環境を好みます。

また、近隣にそういった川や水路がある場合だけでなく、
実は、水田として長く利用されてきた場所も注意が必要なのです。

- 南吹田・江坂周辺エリア -

2024年 現在（GoogleEarth）

1948年（昭和23年）は水田地帯だった同エリア
（参照：国土交通省 地図・空中写真閲覧サービスより）

豊津エリア・江坂エリア・南吹田エリア・岸部エリア、そして、JR以南エリアは、
元々、水はけの悪い低湿地の土地でもあったため、
長きに渡り、水田として利用されてきたエリアなのです。

- 明治期の低湿地データ -

黄色は「田んぼ」｜ 黄緑は「深田」
（参照：地理院地図 / GSI Mapsより）

特に、吹田駅南側（昭和町・高城町・末広町・日ノ出町・目俵町・吹東町・幸町・岸部南・南正雀）や
泉町・穂波町・南清和園町周辺は、「深田（上図の黄緑部分）」でもあり
膝ぐらいまで泥がぬかるんでおり、場合によっては船を使い移動することもあったほど、
沼に近い水田地帯（沼田・湿田）でもありました。

- 南吹田地域の変遷 -

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（参照：南吹田地域のまちづくり基本計画｜吹田市より）

このように、元々水はけの悪かった水分の多い土地に、
白蟻の多く生息する山の土で埋め立てたのが、現在の南部エリアでもあります。

こう言った白蟻の生息に適した場所（土壌）の上に、
昭和の高度経済成長の急激な人口増加により
「白蟻予防」という概念がなかった昭和の時代に、
白蟻対策が未処理のまま建築された木造の建物（アパートや長屋、戸建て住宅）が密集して建ち並んだのです。

昭和以前に建てられた
文化住宅と呼ばれた木造アパート

昭和以前に建てられた木造長屋

特に、白蟻対策を行っていない住宅が空き家として放置されている場合は、
白蟻の温床となるケースも考えられるため、近隣にある場合は注意が必要です。

阪神淡路大震災の
教訓から生まれた白蟻予防

「白蟻予防」と言う概念が一般的に浸透したのは、
阪神淡路大震災の後のことです。

（参照：阪神大震災にみる住宅の腐朽およびシロアリ被害より）

昭和に建てられた大量の未処理の木造建築を含め、
白蟻被害を受けていた建物の約90％が地震により倒壊した
という事実が明らかになったためです。

（参照：兵庫県南部地震による木造家屋被害に対する蟻害・腐朽の影響より）

これにより、「耐震」を強化するためには切っても切れない
「白蟻対策」の重要性が、一般的に認知されることとなったのです。

吹田市に生息するヤマトシロアリ

前述の通り、吹田市で白蟻被害と言えば、
その多くが木材を加害する「ヤマトシロアリ」による被害となります。



被害の進行が遅い分、知らぬうちに加害が拡大してしまうことに加え、
複数の巣（コロニー）から同時に加害される可能性もあるため、
住宅においては、注意が必要な白蟻が、このヤマトシロアリです。

また、目に見えない木材内での空洞化を引き起こすことにより、
地震の多いこの日本において、
大きな揺れがあった際に、初めて
白蟻の食害による影響が表面化（家屋の倒壊）してしまう怖さもあります。
これは、「骨粗鬆症と似ている被害」とも揶揄される場合がある程です。

白蟻の被害が目に入る箇所まで広がった時には、
既に木材の中がスカスカになっている。

これが、白蟻被害の特徴とも言えます。 また、庭や敷地内の木製の杭などが餌場となっている場合もよく見受けられます。

新築時の防蟻処理の必要性

このように、白蟻被害が発生するリスクのある吹田市においては、
2000年以降に建築された戸建ての多くに、新築時の「防蟻処理」が実施されているかと思います。

「建築時に処理しているのは、法律で定められているからでしょ？」
と、考えている方も多いかもしれません。

しかし、実は建築基準法では、
「必要に応じて防蟻措置を講じなければならない」とあり必須ではないため、
建築会社が「白蟻は出ない」と考えるのであれば、
わざわざ防蟻処理をしなくても良いのです。

プロである建築会社が「このエリアは白蟻が出る可能性がある」と考えているからこそ、
白蟻予防を新築時に実施しているのです。

きっと、住宅購入時に渡される「建築書類一式」に、
下図のような「しろあり防除保証書」が入っているかと思いますので、
下図のような一度確認してみてください。

家族を守るために出来ること

一般的な新築時の防蟻処理では、5年の薬効が切れてしまい、
その後は、白蟻の侵入に対しては「無防備」となってしまいます。

よって、知らぬ間に白蟻は進入し、
知らぬ間に被害が拡大していきます。

地震大国でもあるこの日本では、
「耐震性」が家と家族を守るためにも重要視されています。

しかし
もし、家を支える木材が白蟻に食べられてしまえば
「耐震等級」など全く無意味です。
だからこそ、私たちテコラでは
新築時の防蟻処理の薬剤効果が切れてしまった戸建住宅にお住いの方々には、
大切な家族を守るためにも、白蟻予防（家を守る対策）を強くお勧めしております。