大阪狭山市に生息するヤマトシロアリ

大阪狭山市には、昔から
木材や、木造建築物などに被害を与えるヤマトシロアリという白蟻が生息しています。



被害の進行が遅い分、知らぬうちに加害が拡大してしまうことに加え、
複数の巣（コロニー）から同時に加害される可能性もあり、
日本国内の白蟻被害件数としては群を抜いて多く、
注意が必要な白蟻が、このヤマトシロアリです。



目に見えない木材内での空洞化を引き起こすことにより、
地震の多いこの日本において、
大きな揺れがあった際に、初めて
白蟻の食害による影響が表面化（家屋の倒壊）してしまう怖さもあります。
これは、「骨粗鬆症と似ている被害」とも揶揄される場合がある程です。

白蟻の被害が目に入る箇所まで広がった時には、
既に木材の中がスカスカになっている。

これが、白蟻被害の特徴とも言えます。 また、庭や敷地内の木製の杭などが餌場となっている場合もよく見受けられます。

大阪狭山市は、このヤマトシロアリが生息しており、
地形的にも白蟻が出やすい環境が整っている場所でもあります。

そのため、次項より、2つのエリアに分けて
白蟻リスクを見ていきたいと思います。

谷底平野の住宅地 における
白蟻リスク

まず、多くの方がご存じの通り、
白蟻は湿気を好み、
下記のような場所に建つ住宅は、昔から白蟻に対する注意が必要と言われています。


これらに共通する点は、
土壌に水分が多く含まれている可能性が極めて高いということです。

湿気を好む白蟻にとって、土壌に含まれる水分が高いほど、
彼らの生息に適した場所となる可能性が高まるからです。

大阪狭山市には、
市内を北上する西除川・東除川などだけでなく、
「狭山池」を含め、2024年現在残っているだけでも113箇所もの「ため池」が存在します。



それに加え、西除川・東除川周辺は
羽曳野丘陵と泉北丘陵に挟まれた「谷底平野」と呼ばれる地形となっており、
川の周辺は、地下水位が比較的高く、水はけの悪い湿潤な土地となっています。

下図の標高グラデーションの
緑色～水色が主な「谷底平野」

現在でも水田が見らえる東野地域だけでなく、
池尻地域、池之原地域、狭山地域、金剛地域、半田地域、東茱萸地域などが、
こういったエリアに該当します。

※一部、近隣との高低差のあるような場所は、
次項の「丘陵地エリア」に該当する場所もあります。

そのため、今では一部のみとなっていますが、
この谷底平野では、水持ちの良さを活かし「水田」として利用されてきました。

- 昭和の池尻・半田エリア周辺 -

1961年（昭和36年）は水田として利用されていた
（参照：国土交通省 地図・空中写真閲覧サービスより）

谷底平野に位置する場所にある住宅地は、
言い換えれば、彼らの生息に適した土壌の上に、
彼らの餌でもある木材で出来た家が建っているとも言えるのです。

池や川に囲まれた池尻地域

中でも、池尻中や東池尻、池尻北などの池尻地域は、
西除川と東除川の間に位置し、
更に狭山池・副池・太満池・大鳥池・新池の内側にも位置しているため、
湿気を好む白蟻に対する注意が、特に必要なエリアでもあります。

丘陵地の住宅地における
白蟻リスク

また、森林を宅地造成した住宅地は、
白蟻被害の出やすい危険な場所として、真っ先に挙がる場所でもあります。

「森の掃除屋」とも言われる白蟻は、
本来、木々の多い森林の土壌に多く生息しています。



大阪狭山市においては、
東側に位置する羽曳野丘陵の麓だけでなく、
西側に位置する泉北丘陵の一部でもある狭山丘陵などに建つ住宅は、
まさに、白蟻の「ホームグラウンド」ともいえる土地の上に建っているのです。

- 狭山丘陵エリア -

2024年 現在（GoogleEarth）の
西山台・大野台・大野周辺

1948年（昭和23年）の同エリア
（参照：国土交通省 地図・空中写真閲覧サービスより）

丘陵地に位置する大野地域、大野台地域、西山台地域、今熊地域、岩室地域、山本地域などは
元々森林だった場所を、宅地として造成された場所でもあるため、
彼らの生息地の上に、木材（餌）で住宅を建てているわけです。

そのため、
白蟻対策を何もしていなければ、白蟻の被害に遭うのは当たり前とも言えます。

地震の教訓から生まれた
白蟻予防

実は、前項の「谷底平野エリアに位置する住宅地の白蟻リスク」にも当てはまるのですが、
1967年（昭和42年）から始まった狭山ニュータウンも含め、
昭和以前に建てられた大量の木造住宅のほぼ全てが、建築時の白蟻予防がされていません。

昭和の木造住宅

当時はまだ、「白蟻予防」という概念はなく、
被害が出たら駆除をするいう流れが一般的だったためです。

しかし、1995年（平成7年）に阪神淡路大震災が発生し、
高度経済成長期に大量に建てられた木造住宅を含む、多くの建物が倒壊しました。

家を支える木材が、白蟻によって知らぬ間に蝕まれ、
大きな揺れにより突如倒壊したのです。

（参照：阪神大震災にみる住宅の腐朽およびシロアリ被害より）

そして、この時、震源地に近かった神戸市東灘区での調査において、
倒壊した建物の約90％が、白蟻の被害にあっていたことが明らかになったのです。

（参照：兵庫県南部地震による木造家屋被害に対する蟻害・腐朽の影響より）

その後、この震災の教訓から、「耐震」が見直されたのと同時に、
「耐震」を考える上で、切っても切れない「白蟻予防・対策」の重要性が
一般的にも広く認知されるようになりました。

これにより、家を建てるハウスメーカーを中心に、「新築時の白蟻予防」が普及してきました。

平成初期以前に建てられた建物が空き家となっている場合、
白蟻の温床となっている可能性もあるため、
近隣に自宅ある場合は被害に遭わないようご注意下さい。

新築時の防蟻処理の必要性

このように白蟻の生息地に木造住宅が建てられている
大阪狭山市においては、
2000年以降に建築された戸建ての多くに、
新築時の「防蟻処理」が実施されているかと思います。

「建築時に処理しているのは、法律で定められているからでしょ？」
と、考えている方も多いかもしれません。

しかし、実は建築基準法では、
「必要に応じて防蟻措置を講じなければならない」とあり必須ではないため、
建築会社が「白蟻は出ない」と考えるのであれば、
わざわざ防蟻処理をしなくても良いのです。

プロである建築会社が「このエリアは白蟻が出る可能性がある」と考えているからこそ、
白蟻予防を新築時に実施しているのです。

きっと、住宅購入時に渡される「建築書類一式」に、
下図のような「しろあり防除保証書」が入っているかと思いますので、
下図のような一度確認してみてください。

家族を守るために出来ること

一般的な新築時の防蟻処理では、5年の薬効が切れてしまい、
その後は、白蟻の侵入に対しては「無防備」となってしまいます。

よって、知らぬ間に白蟻は進入し、
知らぬ間に被害が拡大していきます。

地震大国でもあるこの日本では、
「耐震性」が家と家族を守るためにも重要視されています。

しかし
もし、家を支える木材が白蟻に食べられてしまえば
「耐震等級」など全く無意味です。
だからこそ、私たちテコラでは
新築時の防蟻処理の薬剤効果が切れてしまった戸建住宅にお住いの方々には、
大切な家族を守るためにも、白蟻予防（家を守る対策）を強くお勧めしております。