白蟻の自然界での役割

本来、白蟻は「森の掃除屋」という異名を持つ通り、丘陵地や山地などの森林の土壌に多く生息しています。

「白蟻がいない森は枯れる」と言われるほど、自然界において彼らは重要な存在でもあり、
森や林など、もしくは、その周辺地域は、白蟻にとってのホームグラウンドとも言える場所です。

この事実を踏まえた上で
宝塚市の住宅地の特徴を見ていきましょう。

宝塚市の地形と住宅地

宝塚市は、
南部の六甲山地と、北部地域の長尾山地という面積の大部分を占める二つの山地

そして、両山地の間から流れ出る武庫川により運ばれた土砂の堆積により形成された
扇状地の武庫平野で構成されています。

宝塚市の地勢図
（参照：宝塚市 第2章 宝塚市の現況と課題より）

このように、面積の多くを山地が占めていることもあり、
人口の多くが南部地域の市街地周辺に住んでいます。

総人口の人口密度
（参照：宝塚市 第2章 宝塚市の現況と課題より）

結果、ほとんどの住宅が
下記エリアに建てられているのが宝塚市の特徴となります。

① 山地の斜面や丘陵地を造成した作られた
山麓エリア
もしくは
② 武庫川を中心に広がる平野エリア

山地・山麓部における
白蟻リスク

現在の山林部エリアなど（緑・灰色）は、
もちろん白蟻のホームグラウンドです。

土地利用現況図
（参照：宝塚市 第2章 宝塚市の現況と課題より）

また、南部地域においては、
昭和後半の高度経済成長期以降にベッドタウンとして開発された団地が多く、
山麓部を開発・造成された住宅地は、
白蟻の生息地の上に、白蟻の餌である木材で作られた家が建っている状態とも言えるのです。

特に、下記の2つのエリアは
注意が必要なエリアとも言えるかと思います。

・市内西部の六甲山地の斜面や麓において
宅地造成されたエリア
（阪急今津線より西に位置する団地）

- 現在の逆背台・光ガ丘・野上周辺エリア（GoogleMap） -

- 1961年（昭和36年）の同エリア -
（参照：国土交通省 地図・空中写真閲覧サービスより）

・長尾山地の斜面や麓において
宅地造成されたエリア
（JR福知山線より北に位置する団地）

- 現在の武庫川以東のエリア（GoogleMap） -

- 1947年（昭和22年）の同エリア -
（参照：国土交通省 地図・空中写真閲覧サービスより）

このように、現在の団地エリアは、
白蟻が多く生息している山麓に作られていることが、見て取れるかと思います。

平野部における白蟻リスク

また、武庫川を中心とした平野部においても
注意が必要なことは変わりません。

白蟻が湿気の多い場所を好むということは、
ご存じかと思います。


そのため、川・水路・池の近くはもちろんのこと、
昔は、水田だった場所などは、土壌自体に湿気の多い場合もあるため注意が必要です。

- 現在の武庫川の東側エリア（GoogleMap） -

- 1947年(昭和22年)の同エリア -


- 現在の武庫川の西側エリア（GoogleMap） -

- 1948年(昭和23年)の同エリア -
（参照：国土交通省 地図・空中写真閲覧サービスより）

このように、宝塚の平野部の多くは、昔は田畑だった場所が多いため白蟻に対する注意が必要とも言えます。

また、山間部に比べると白蟻が少なかったと考えられる（木の少ない）扇状地の平野部ですが、
明治以降（から阪神淡路大震災が起こるまで）に建てられた木造住宅は「白蟻予防」と言う概念がなく、
餌となる木々が防蟻処理も未処理のまま使用されていました。


加えて、地面に接する木材（格好の餌となる状況）も多かったため、
白蟻にとっては「大量に餌が増えた」という状況だったのでしょう。

また、新築時に盛り土として使われる盛り土の多くが、
白蟻の生息している「山の土」を利用していることも忘れてはいけません。

結果として、
こういった場所にも白蟻が増え、
水資源の確保が出来る湿気の多い土壌だった平野部に、
水・餌（木）・土が揃う環境が整ってしまい、
山麓部同様に、現在では白蟻の被害が出る可能性が高くなっているとも言えます。

新築時の防蟻処理の必要性

このように、戸建て住宅の多くが、白蟻の生息地の上に建ち並んでいるという状態です。

そのため、宝塚市において
2000年以降に建築された戸建ての多くには、新築時の「防蟻処理」が行われているかと思います。

「建築時に処理しているのは、法律で定められているからでしょ？」
と、考えている方も多いかもしれません。

しかし、実は建築基準法では、
「必要に応じて防蟻措置を講じなければならない」とあり必須ではないため、
建築会社が「白蟻は出ない」と考えるのであれば、
わざわざ防蟻処理をしなくても良いのです。

プロである建築会社が「このエリアは白蟻が出る可能性がある」と考えているからこそ、
白蟻予防を新築時に実施しているのです。

きっと、住宅購入時に渡される「建築書類一式」に、
下図のような「しろあり防除保証書」が入っているかと思いますので、
下図のような一度確認してみてください。

家族を守るために出来ること

一般的な新築時の防蟻処理では、5年の薬効が切れてしまい、
その後は、白蟻の侵入に対しては「無防備」となってしまいます。

よって、知らぬ間に白蟻は進入し、
知らぬ間に被害が拡大していきます。

地震大国でもあるこの日本では、
「耐震性」が家と家族を守るためにも重要視されています。

しかし
もし、家を支える木材が白蟻に食べられてしまえば
「耐震等級」など全く無意味です。
だからこそ、私たちテコラでは
新築時の防蟻処理の薬剤効果が切れてしまった戸建住宅にお住いの方々には、
大切な家族を守るためにも、白蟻予防（家を守る対策）を強くお勧めしております。