箕面市の白蟻リスクについて

箕面市は、市の2/3の占める北摂山地と、吹田・豊中に位置する千里丘陵
そして、その間の平野部から構成され
市域全体が標高が高く、洪水や浸水などの水害による被害は比較的少ないのが特徴でもあります。

（参照：地理院地図 / GSI Maps｜国土地理院より）

しかし、このような地形であるが故に、
白蟻のリスクはと言うと、
府内の多くが該当する大阪平野（低地）に位置するエリアに比べれば、高いとも言えます。

アスファルトで埋められた市街地では、
想像出来ないと思われる方も多いかもしれませんが、
昔から箕面市には、湿気を好み、
白蟻の中でも住宅などの木材に加害するヤマトシロアリが生息しています。



被害の進行が遅い分、知らぬうちに加害が拡大してしまうことに加え、
複数の巣（コロニー）から同時に加害される可能性もあり、
日本国内の白蟻被害件数としては群を抜いて多く、
注意が必要な白蟻が、このヤマトシロアリです。

目に見えない木材内での空洞化を引き起こすことにより、
地震の多いこの日本において、
大きな揺れがあった際に、初めて
白蟻の食害による影響が表面化（家屋の倒壊）してしまう怖さもあります。
これは、「骨粗鬆症と似ている被害」とも揶揄される場合がある程です。

白蟻の被害が目に入る箇所まで広がった時には、
既に木材の中がスカスカになっている。

これが、白蟻被害の特徴とも言えます。 また、庭や敷地内の木製の杭などが餌場となっている場合もよく見受けられます。
それでは、このヤマトシロアリが
どういった場所に生息しているのかを見ていきましょう。

山地および丘陵地の住宅地における白蟻リスク

箕面市の北部・中部に位置する北摂山地とその山麓・山麓周縁部
そして、南側に位置する千里丘陵は、
白蟻が多く生息するエリアでもあります。

箕面市の景観を形づくる地形の特性
（参照：箕面市の景観のなりたちと課題｜箕面市より）

白蟻は本来「森の掃除屋」と言う異名があり
他の生物が分解できない自然界のゴミでもある倒木や枯れ木を
消化・分解して土に還すという、自然界では大事な役割を担っている昆虫です。



言い換えれば、森林の多い丘陵地や山地は、
自然界において、彼らが存在するべき場所でもあるのです。

また、森林土壌は
スポンジのように多孔質で保水力に優れているため
森林（の土壌）は、
餌と水が豊富に手に入る彼らのホームグラウンドとも言える場所なのです。




そのため、このような場所を開発した住宅地に建つ家は、
彼らが生息している場所に、彼らの餌で作られ建っているのですから
何の対策もしていなければ、被害に遭うのは当然とも言えるのです。

- もともと森林だった山地・丘陵エリア -

2024年 現在（GoogleEarth）

1948年（昭和23年）の同エリア
（参照：国土交通省 地図・空中写真閲覧サービスより）

例えば、千里丘陵（および麓）に位置するエリアであれば、
小野原・船場・稲エリアが、
また、山麓・山麓周縁部であれば、
桜ヶ丘・桜・新稲・箕面・西小路・如意谷・坊島・白島・石丸・外院・粟生エリアなどがこのようなエリアになります。


私たちも、点検時には
「土に接している木材は、時間の差はあれど、
白蟻に食べられてもが仕方ないと考えて下さい」とお伝えしています。

特に、今でも周りに本来の自然環境（森林や木々）が残っている場所は
建物を守るためにも、白蟻対策が必要なのは言うまでもありません。

下図のように、森町南や森町中・森町北・森町西等は
現在でも周囲を本来の生息環境をそのまま残した状態でもあるため
必ず白蟻対策が必要とも言えます。

- 止々呂美エリア -

2024年 現在（GoogleEarth）

1995年（平成7年）の同エリア
（参照：国土交通省 地図・空中写真閲覧サービスより）

市街地および平野部における白蟻リスク

また、平野部（171号線沿いおよぶ北側の各エリア）は、
現在は市街地化しているため、わかりにくいのですが
広範囲で見ると北摂山地と丘陵地部の一部とも言える土地であることは、一目瞭然であり、
前述の通り、白蟻が生息しているという状況は同じです。

箕面市 南部

広範囲で表示
（参照：地理院地図 / GSI Maps｜国土地理院より）

171号線に近い瀬川・半町・桜井・牧落・稲・萱野・西宿・今宮など
市街地を含めた多くの住宅地が位置する平野部は
そのほとんどが、水田として利用されてきた土地です。



この水田地帯を場所を埋め立てて造られたのが、平野部に並ぶ住宅地でもあります。

- 水田の多かった萱野・箕面・牧落周辺 -

2024年 現在（GoogleEarth）

1948年（昭和23年）
（参照：国土交通省 地図・空中写真閲覧サービスより）

何より、注意すべきは、令和の現在と違い
昭和・平成初期と言った「白蟻予防」という概念がなかった時代に建てられ、そのまま放置されている木造建築も多いことです。

実は、2000年以前に建てられた木造住宅のほとんどが、
新築時の防蟻処理を行っていません。

白蟻予防という概念が、一般に浸透したのは、
1997年（平成9年）に発生した阪神淡路大震災の後です。

（参照：阪神大震災にみる住宅の腐朽およびシロアリ被害より）

震災後に行われた調査により、
白蟻被害に遭っていた建物の90％以上が、倒壊などの被害を受けたことが明らかになりました。

（参照：兵庫県南部地震による木造家屋被害に対する蟻害・腐朽の影響より）

これにより、地震の多い日本において、
木造住宅の「耐震」を考える上では切っても切れない「白蟻対策」の重要性が
この震災の調査報告により、建築メーカーを中心に全国に広まったのです。

昭和（以前）に建てられた建物が、防蟻処理を行っていない場合や、
空き家となって放置されている場合には、白蟻の温床となっている可能性もあるため注意が必要です。

昭和の高度経済成長期の人口増加に伴い、
白蟻の生息する環境の上に、彼らの餌でもある木材を未処理のまま使用して木造建築物が建ち並んだのです。

昭和の木造アパート

昭和の木造長屋

夢のマイホームを建て、
庭におしゃれな木を植えたり、
木の杭や柵、ウッドデッキやベンチを設置したりされる方も多い一方で、
私たちがお伺いした箕面市の平野部における住宅敷地内や近隣において、

それらが白蟻の被害に遭っているのを、実際に良く目にします。

木製ベンチの白蟻による食害

木製杭の白蟻による食害

地面に置かれた木材の白蟻による食害

箕面市の土壌には、
どこであってもヤマトシロアリが生息していると言っても過言ではありません。

そのため、「敷地内の土の中には白蟻がいることが当たり前」とお考えいただき
大量の白蟻が、大切な建物内部へ侵入してしまわぬよう、
住宅の白蟻対策だけは怠らないようにしていただくことが重要かと思います。

新築時の防蟻処理の必要性

このように自然環境が良好な反面、白蟻リスクが高い箕面市においては、
2000年以降に建築された戸建ての多くに、新築時の「防蟻処理」が実施されているかと思います。

「建築時に処理しているのは、法律で定められているからでしょ？」
と、考えている方も多いかもしれません。

しかし、実は建築基準法では、
「必要に応じて防蟻措置を講じなければならない」とあり必須ではないため、
建築会社が「白蟻は出ない」と考えるのであれば、
わざわざ防蟻処理をしなくても良いのです。

プロである建築会社が「このエリアは白蟻が出る可能性がある」と考えているからこそ、
白蟻予防を新築時に実施しているのです。

きっと、住宅購入時に渡される「建築書類一式」に、
下図のような「しろあり防除保証書」が入っているかと思いますので、
下図のような一度確認してみてください。

家族を守るために出来ること

一般的な新築時の防蟻処理では、5年の薬効が切れてしまい、
その後は、白蟻の侵入に対しては「無防備」となってしまいます。

よって、知らぬ間に白蟻は進入し、
知らぬ間に被害が拡大していきます。

地震大国でもあるこの日本では、
「耐震性」が家と家族を守るためにも重要視されています。

しかし
もし、家を支える木材が白蟻に食べられてしまえば
「耐震等級」など全く無意味です。
だからこそ、私たちテコラでは
新築時の防蟻処理の薬剤効果が切れてしまった戸建住宅にお住いの方々には、
大切な家族を守るためにも、白蟻予防（家を守る対策）を強くお勧めしております。