白蟻の自然界での役割

本来、白蟻は「森の掃除屋」という異名を持つ通り
丘陵地や山地などの森だけでなく、
林のような木々の生えていた場所の土壌に多く生息しています。
「白蟻がいない森は枯れる」と言われるほど、自然界において彼らは重要な存在でもあり
森や林など、もしくは、その周辺地域は、
白蟻にとってのホームグラウンドとも言える場所なのです。

この事実を踏まえた上で、
川西市および猪名川町の住宅地の特徴を見ていきましょう。

川西市（北部）と猪名川町の地勢と白蟻リスク

川西市および川辺郡猪名川町は、
共に地勢的に山地（山間部）に作られた団地（住宅地）が多いことが特徴です。

- 兵庫県川辺郡猪名川町（GoogleMap） -

- 兵庫県川西市（GoogleMap） -

両市町共に、面積の大部分が
南北に通る県道12号（川西篠山線）もしくは国道173号に沿って、北上する形で、
なだらかな丘陵地や、北部に広がる山地へ昭和以降徐々に宅地造成されたエリアです。

- 多田神社を中心とした現在の緑台や水明台などの川西市北部エリア（GoogleMap） -

- 開発前1948年（昭和23年）の同エリア -
（参照：国土交通省 地図・空中写真閲覧サービスより）

新旧写真を比較していただくとわかるように、丘陵地や山地だった
元々、白蟻が多く生息している場所に、
彼らの餌となる木材を大量に使用して建てられた家が建っているのです。

また、猪名川町の大野山を水源地とした猪名川や、山間部を流れるその支流も多く
乾燥に弱い白蟻にとっては、
水源も多く存在し、生息に適したエリアでもあります。

猪名川 流域図・位置図
（参照： 国土交通省水管理・国土保全局より）

そのため、白蟻に対しては
特に注意が必要なエリアとも言えます。

川西市（南部）の白蟻リスク

それでは、山地ではなく平地部でもある
川西市の市街地などの川西市南部はどうでしょうか？

「白蟻が湿気を好む」という事実はご存じかと思います。

そのため、川や池（貯め池など）・沼、そして、水田（沼田）などが近くにある場所だけでなく、
そういった用途で使用されていた場所を、埋め立て造成されたエリアは、
湿気を含む土壌が多いことがあります。

川西市南部は、昭和においても
猪名川や最明寺川等の水源を利用した水田（および池など）も存在していました。

- 現在の川西能勢口周辺の南部エリア（GoogleMap） -

- 1948年（昭和23年）の同エリア -
（参照：国土交通省 地図・空中写真閲覧サービスより）

そういった場所を埋め立てた造成された湿気の多い土地の上に、
昭和後半にベッドタウンとして多くの住宅が建てられていきました。

また、水田や池・沼を埋め立てるために使用される土（盛り土）には、
白蟻の生息しやすい森の土を利用されることが多いことも忘れてはいけません。

このように、山地ではないこのような平地であっても、
人口が増え、多くの家が建ったことにより
白蟻にとっては、土・水・餌（木材）が揃う最適な環境とも言える状況となっているため、
北部同様に白蟻に対して注意が必要な場所と言えます。

川西市・猪名川町は共に、
白蟻対策を万全にしておくことが望まれるエリアなのです。

しかし、
「白蟻予防」と言う概念のないこの時代に建てられた多くの家が、
白蟻の被害、そして、この後の発生する震災の被害に遭ってしまったのです。

阪神淡路大震災による川西市の白蟻リスクの顕在化

白蟻予防の概念のない時代に建てられたこのような住宅の多くが、
1995年（平成7年）に発生した阪神淡路大震災にて大きな被害を受けました。

下記は阪神淡路大震災による
川西市の建物被害状況です。

（参照：広報かわにしmilife（みらいふ）2018.01より）

また、震度7を記録した淡路島北淡町と神戸市東灘区では
腐朽・シロアリ被害があった家の95%以上が全壊・半壊したと話題にもなりました。

（参照：阪神大震災にみる住宅の腐朽およびシロアリ被害より）

平成に発生したこの大地震の後、
「白蟻予防」という概念が一般化し、
建築基準法においても防蟻処理（予防）の必要性が明記されるようになりました。

新築時の防蟻処理の必要性

このように、戸建て住宅の多くが、白蟻の生息地の上に建ち並んでいるという状態です。

そのため、川西市および猪名川町において
震災後に建築された戸建ての多くには、新築時の「防蟻処理」が行われているかと思います。

「建築時に処理しているのは、法律で定められているからでしょ？」
と、考えている方も多いかもしれません。

しかし、実は建築基準法では、
「必要に応じて防蟻措置を講じなければならない」とあり、必須ではないため、
建築会社が「白蟻は出ない」と考えるのであれば、
わざわざ防蟻処理をしなくても良いのです。

プロである建築会社が「このエリアは白蟻が出る可能性がある」と考えているからこそ、
白蟻予防を新築時に実施しているのです。

きっと、住宅購入時に渡される「建築書類一式」に、
下図のような「しろあり防除保証書」が入っているかと思いますので、
下図のような一度確認してみてください。

家族を守るために出来ること

一般的な新築時の防蟻処理では、5年の薬効が切れてしまい、
その後は、白蟻の侵入に対しては「無防備」となってしまいます。

よって、知らぬ間に白蟻は進入し、
知らぬ間に被害が拡大していきます。

地震大国でもあるこの日本では、
「耐震性」が家と家族を守るためにも重要視されています。

しかし
もし、家を支える木材が白蟻に食べられてしまえば
「耐震等級」など全く無意味です。
だからこそ、私たちテコラでは
新築時の防蟻処理の薬剤効果が切れてしまった戸建住宅にお住いの方々には、
大切な家族を守るためにも、白蟻予防（家を守る対策）を強くお勧めしております。