日本中、どこにでもいる白蟻

白蟻は、私たちにとっては、
大切な家を食べてしまう「害虫」として有名ですが、
「森の掃除屋」という異名を持つ自然界においては、なくてはならない存在の昆虫です。



しかし、普段生活をしている中で、白蟻を目にすることは少ないかと思います。

ただ、多い少ないの差こそあれ、
白蟻は、土のある場所であれば日本中（北海道の一部を除き）どこにでも生息しています。

そこで今回は、
寝屋川市における白蟻リスクを
中心部を含む守口市・門真市および淀川に隣接する「西部・中心部の平坦地エリア」と
枚方市・交野市（・四条畷市）に隣接する「東部の丘陵・山麓地エリア」の


大きく2つにエリア（左右）に分けて
それぞれの土地の特徴と共に、見ていきたいと思います。

寝屋川市の白蟻リスク①
（西部・中心部の平坦地）

まず、寝屋川市の西部の平坦地エリア（京阪の寝屋川市駅周辺を含む）は、
その昔、「北河内の低湿地帯」とも言われる湿地帯が広がっていた場所です。


また、この湿地帯で栽培されるレンコンは、
近年まで「河内レンコン」として有名で、一帯には蓮畑が広がっていました。


加えて、淀川水系の支川（しせん）でもある寝屋川だけでなく、
この寝屋川へと続く複数の河川（たち川・打上川・讃良川・南前川・岡部川・清滝川・江蝉川など）が多く存在し、
海抜2～3mの平地と言う特性もあり、
淀川の氾濫だけでなく、昔から大雨などによる水害と隣合わせのエリアでもあるのです。



下記は1970年～2012年までの
寝屋川市で起きた大雨等による水害被害となります。

1972年7月3日	豪雨・大雨	床上浸水６戸、床下浸水2､394戸
1972年8月6日	豪雨・大雨	床上浸水217戸、床下浸水9､603戸
1972年9月16日	台風20号	春日町、香里南之町など各地区で約600戸が床下浸水
1975年7月3日	豪雨・大雨	床下浸水2,400戸
1975年8月6日	豪雨・大雨	床上浸水207戸、床下浸水6,527戸
1976年9月8日	台風17号	床上浸水４戸、床下浸水453戸
1979年9月30日	台風16号	床上浸水38戸、床下浸水2,437戸
1982年8月18日	豪雨・大雨	床下浸水427戸
1983年8月21日	豪雨・大雨	床上浸水38戸、床下浸水2,013戸
1983年9月26日	台風10号	床下浸水635戸
1984年7月25日	豪雨・大雨	床上浸水３戸、床下浸水207戸
1987年8月18日	豪雨・大雨	床下浸水425戸
1989年9月3日	豪雨・大雨	床下浸水370戸
1990年7月12日	豪雨・大雨	床下浸水185戸
1997年8月7日	豪雨・大雨	床上浸水137戸、床下浸水3,711戸
2004年10月20日	台風23号	床上浸水１戸、床下浸水289戸
2008年8月6日	豪雨・大雨	床上浸水122戸、床下浸水1,241戸
2012年8月14日	豪雨・大雨	床上浸水1,427戸、床下浸水5,787戸

「資料2－1 地形・地質 - 寝屋川市」より

このように、寝屋川市の西部・中心部は、
河川が多いだけでなく、
元々土壌に湿気の多い湿地帯や田んぼなどを宅地造成したエリアとなっており、
多くの方がご存じのように「湿気を好む白蟻」にとっては
生息に適した絶好の土壌と言えるのです。



そして、彼らの生息に適した場所の上に、彼らの餌（木）で作られた住宅が
1980年台に始まった高度経済成長期以降、一気に建てられたのが西部・中心部エリアなのです。

1957年（昭和32年）の寝屋川市
（黄色は田んぼや畑、赤は住宅地）
1990年（平成2年）の寝屋川市

寝屋川市の白蟻リスク②
（北部の丘陵地・東部の山麓地）

続いて、
寝屋川市の北部と東部を見ていきましょう。

最初にお伝えした通り、
白蟻は「森の掃除屋」と言われています。


白蟻が作る土の中のトンネル（通り道）により、植物は根から酸素を取り入れることが出来、
また、枯れ木などの死んだ木材（自然界のゴミ）は、
白蟻が消化・分解することにより、
自然会におけるサイクルが成り立っていると言われています。

「白蟻がいない森は枯れる」と言われるほど、
白蟻は、自然界において重要な役割をしている昆虫であり、
木々の多い林や森のある高地や丘陵地、山地などにその多くが生息しています。



そのため、もし白蟻業者に
「湿気の多い場所を除いて、白蟻が出やすい場所は？」と聞くと
ほぼ間違いなく
「山や丘陵地などに造成されたエリア」と答えるかと思います。

それほど、高台や丘陵地、そして、山地（山麓などの麓を含む）は、
白蟻が、多く生息している場所でもあるのです。

話を寝屋川市に戻すと、
京阪電車が開通した1910年（明治43年）以降、
京阪沿線を中心に開発が行われました。

中でも、大正に入ると高台の高級住宅地として開けていったエリアでもある北部（香里園駅東側）は、
枚方市から続く「枚方丘陵」と呼ばれる丘陵地帯となっており、
地形的に見ても、白蟻の生息しているエリアに家が建っていると言えます。

2024年 現在（GoogleMap）

1948年（昭和23年）の同エリア
（参照：国土交通省 地図・空中写真閲覧サービスより）

また、近年多くの住宅が建築されている国道170号線よりも東側、
特に第二京阪道路周辺や以東においては、
生駒山系の麓に位置しており、北部と同様に
白蟻の生息地の上に、餌で出来た家が建っていると言っても過言ではない状態なのです。

ヤマトシロアリによる被害

寝屋川市全域には、ヤマトシロアリという種が生息しています。



被害の進行が遅い分、知らぬうちに加害が拡大してしまうことに加え、
複数の巣（コロニー）から同時に加害される可能性もあるため、
住宅においては、注意が必要な白蟻が、このヤマトシロアリです。

また、目に見えない木材内での空洞化を引き起こすことにより、
地震の多いこの日本において、
大きな揺れがあった際に、初めて
白蟻の食害による影響が表面化（家屋の倒壊）してしまう怖さもあります。
これは、「骨粗鬆症と似ている被害」とも揶揄される場合がある程です。

白蟻の被害が目に入る箇所まで広がった時には、
既に木材の中がスカスカになっている。

これが、白蟻被害の特徴とも言えます。 また、庭や敷地内の木製の杭などが餌場となっている場合もよく見受けられます。

新築時の防蟻処理の必要性

寝屋川市は住宅地を少し抜けると緑地も多く、
自然に溢れた面も併せ持つ素晴らしい都市であり
川の名前を取って出来た市名だけに白蟻の好む湿気と関係が深い土地柄でもあります。

また、北部・東部も白蟻のホームグラウンドとも言える場所でもあるため、
寝屋川市は、ほぼ全域が白蟻に対する注意が必要なのです。

そのため、白蟻のいる土地（土壌の上）に建てられた木造住宅が多いこのエリアでは、
2000年以降に建築された戸建ての多くには、新築時の「防蟻処理」が行われているかと思います。

「建築時に処理しているのは、法律で定められているからでしょ？」
と、考えている方も多いかもしれません。

しかし、実は建築基準法では、
「必要に応じて防蟻措置を講じなければならない」とあり必須ではないため、
建築会社が「白蟻は出ない」と考えるのであれば、
わざわざ防蟻処理をしなくても良いのです。

プロである建築会社が「このエリアは白蟻が出る可能性がある」と考えているからこそ、
白蟻予防を新築時に実施しているのです。

きっと、住宅購入時に渡される「建築書類一式」に、
下図のような「しろあり防除保証書」が入っているかと思いますので、
下図のような一度確認してみてください。

家族を守るために出来ること

一般的な新築時の防蟻処理では、5年の薬効が切れてしまい、
その後は、白蟻の侵入に対しては「無防備」となってしまいます。

よって、知らぬ間に白蟻は進入し、
知らぬ間に被害が拡大していきます。

地震大国でもあるこの日本では、
「耐震性」が家と家族を守るためにも重要視されています。

しかし
もし、家を支える木材が白蟻に食べられてしまえば
「耐震等級」など全く無意味です。
だからこそ、私たちテコラでは
新築時の防蟻処理の薬剤効果が切れてしまった戸建住宅にお住いの方々には、
大切な家族を守るためにも、白蟻予防（家を守る対策）を強くお勧めしております。